ビール日和

国産クラフトビールを中心に素人が種々紹介して参ります。

【入門①】そもそもビールって何なの?

唐突ですが皆さんビールって聞くとどんなお酒を思い浮かべますか?
上の写真のように金色で泡がモコモコっていうのが一般的な認知かと思います。
今や国民的飲料と言っても過言ではない「ビール」。同僚と仕事終わりに、一人で帰宅後の晩酌に、気心知れた友人と休みの日にと様々なシチュエーションで愛飲されているのではないでしょうか?
この記事ではそんな日常に欠かせない存在となったビールの定義や歴史について触れていきたいと思います。

日本の法律では 

我が国の酒税法では、使用原料と麦芽の使用割合により、ビールと発泡酒を区分しております。
  1. ビール
    ビールは、A 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたもの(麦芽の使用割合100%)及びB 麦芽、ホップ、水及び麦、米や果実、コリアンダーなどの香味料等の特定の副原料を使用して発酵させたもので、麦芽の使用割合が50%以上のものをいいます。
  2. 発泡酒
    発泡酒は、麦芽又は麦を原料の一部とした発泡性のある酒類で、具体的には、A 麦芽の使用割合が50%未満のもの、B ビールの製造に認められない原料を使用したもの、C 麦芽を使用せず麦を原料の一部としたものが該当します。
    なお、発泡酒については麦芽の使用割合により税率が3分類に区分されています。

 

国税庁ウェブサイトより

うーむ、つまり日本では簡単に言えば麦芽比率が50%以上、副原料は決められたものを規定量だけ使用しているものが「ビール」、上記定義外のものは「発泡酒」となる訳です。
輸入のビールの裏側を見ると「発泡酒」表記となっていたりするのは法定義が国々よって異なるからなんですね。

ビールの語源

英語圏で「Beer /ビア」と呼ばれる酒を、日本では何故「ビール」と呼ぶのか。
江戸時代、日本が唯一貿易を続けた西洋の国はオランダのみであり、ワインやビールが日本に初めてもたらされました。
ビールのことをオランダ語では「Bier / ビーア」といい、
一見違うようにも見えますが、現地の発音ではほぼ「ビール」という発音になるのだそう。
つまり、オランダ語の「Bier / ビーア」の音を日本語で文字化したのが「ビール」という語の由来であります。

ビールの歴史

人類とアルコール飲料との出会いは明確にはされていないのですが、ビールの歴史は古く、なんと現在から約5000年前、紀元前3000年前頃には古代メソポタミアやエジプトでビールが製造されていたと明らかにされています。
ビールが誕生したきっかけは、人類が農耕生活を始めた頃、放置していた麦が自然発酵したものが起源とされております。
こうして人々の暮らしに偶然現れたビールは、ヨーロッパで多様な進化を遂げ、全世界へと渡っていきます。

⒈ビールの発祥はなんと古代まで遡る!

当時(紀元前3000年頃)製造されていたビールは「シカル」と呼ばれ、現代のビールとは全く別物で、ホップは使用されずミネラルを多く含む栄養たっぷりの滋養強壮食品として愛されていたようです。
※ホップの使用が主流となったのは中世以降(14〜15世紀頃)とされています。

ピラミッド建設の労働者にもビールが支給され、1日の疲れを癒すのが人々の楽しみであったんでしょうね。当時の出勤簿には「二日酔い」という欠勤理由が刻まれたものがあるそうで現代の日本でそんなことやったら懲戒もんですね。。。

⒉中世でのビール

ベルギー オルヴァル修道院

中世になるとビールはヨーロッパ各地に広がり、庶民にも飲まれるようになりました。
一般的に知れ渡ったビールは、権力のあった修道院の生産活動としても製造されるようになります。
そもそもなんで修道院でビールが造られていたのでしょうか?
中世ヨーロッパでは「ビールは液体のパン」「パンはキリストの肉」という考え方があり、修道士の間でビール造りが盛んになりました。また、水を介して蔓延する疫病が多かったヨーロッパでは、煮沸発酵をしたビールは安全で、長期保存が出来るビールは命の水として尊ばれていたようです。修道院は知識の宝庫であり優秀な人材が集まる為、そこで造られたビールは品質的にも優れていたので庶民にも飲まれるほど大衆的なものとなり、中世の末には民間でのビール造りが盛んになりました。

⒊近代〜現代にかけてのビール

近代以降、ビール造りは更なる飛躍を遂げ、ビールの種類も多種多様となります。
中世までは、ビールが腐敗しないよう涼しい時期にビール造りが行われ、秋〜冬の時期に1年で飲む大量のビールを製造していたのです。
当時のビールは、「高温で短時間、貯蔵と発酵」を行う上面発酵のエールビールが主流でした。そのような状況の中、15世紀にドイツのミュンヘンでラガービールが誕生します。「低温で長時間、貯蔵と発酵」を行うラガービールは、当時のビール造りに革命を起こし、世界中に広まっていきます。人の手によって発酵状況をチェックする必要が無くなり、近代的な大量生産への道が開かれたのです。
この当時の製造法が現在のビール造りに多大な貢献をしているのですね。

そして現在の世界のビール業界の状況について生産量ベースでのシェア率は、1位がベルギーのアンハイザー・ブッシュ・インベブ(バドワイザー などを販売)、2位にオランダのハイネケン、3位に中国の華潤雪花となっております。なんと!この上位3社だけで全世界のビール生産量の約半数を占めており、2000年以降は大手ビール会社の合併や買収が続き、世界のシェアを競う状況が続いています。

もしかしてビールの世界ってめちゃくちゃ幅広い?

凄まじく雑駁にビールの歴史をまとめましたが、今後、当ブログでは現在のビールのメインジャンル、サブジャンル等について触れていき、国産クラフトビールを中心としたレビューをしていきたいと思っております。
嗜好飲料として世界で愛される存在となったビールですが、今も各地で個性的なブルワリーが誕生し、その進化は多様性の極みを見せています。今も昔も変わらぬことは日夜、職人の手により改良され、どんどん美味しいものが生み出されているということです!
皆さんも何気なく飲んでいるビールの歴史に思いを馳せてみてはいかがでしょうか?